pandalzen

 酒とパンダとごはんとコドモ。無理せずラクに、まいにちのくらし。

気の迷い

実は先週、着物屋さんのセールに行ったときに衝動的に契約をしてしまいました。
まあ、ああいう場に行くと担当者がぴったりついて反物を体に巻かれる状態になるのはもうわかってはいましたが、屋久杉の木目を写し取ったという人間国宝の伊勢型小紋にすっかりやられまして。また色が深いブルーで裏がターコイズなのが完全にツボで。「上代230万円」の札はまあさておき、店長が出てきて80万円くらいから下がる下がる・・・。「単に仕立てて真夏も着れる、一生ものの着物ですよ!」という言葉に揺らいでしまったのです。
迷ってる間にすっかり囲まれ「この品は今回だけ」「人間国宝はもう亡くなっているからもう出てこない」「さっきのお客さんは○○万円で買ってもらった」「いいものだからどこに着て行っても恥ずかしくない」「他のお客さんには内緒でおまけを」等たたみかけられ、後で考えるとどっからみてもセールストークに乗せられてる状態(苦笑)
確かに人間国宝で、あの技、染め、もっと歳をとってからでも・・・と思っても欲しいときにはもう手に入らないのが着物の世界。逆に言うと今買えばおばあちゃんになるまで何十年も着れるやん!!と頭に血が上り、とうとう35万円になったとき、私はローンで買う決意を固めておりました。

・・・しかし家に帰ってよくよく考えてみると、確かにいい品物をそう法外でない値段で買えてはいると思うけど、果たして私に人間国宝の着物を着ていく場所がそんなにあるのか?そして桐箪笥も持たずずさんな着物収納をしている私にこんな上等な着物を管理できるのか!?しかもない袖振ってるし!!とテンションは落ちる一方。本当にいい買い物なら、高価な分アドレナリンも出るはずなのに・・・。これは間違いだ!!
先日浅草の着物屋さんで巻かれた反物がちょっと忘れられなくて、「やっぱり無理してでも買っておけばよかったかも・・・」と思ったこともあり、「出会いは一度きり!」という気分になってしまったのよね〜。でもよく考えてみるとこの着物を35万円で買うならあの着物の方が「欲しい度」は上だった気がするし。
とりあえず時間がなかったこともあり採寸は後日ということにして帰ってきてたのでまだ反物は無傷のはず。でも一応クーリングオフとか調べてみたりして。クーリングオフとは訪問販売に準じる場合のみの適用で、店舗で着物を売っていることを知った上で「自ら」行った場合は適用されないとのこと。つまり、この場合は通常のキャンセル交渉になるらしい。勉強になったよ・・・。

意を決して担当者に電話をしたら「私では決められませんので・・・」と言われて怯えたのですが、すぐに店長から折り返し電話があり、説得されながらも一応キャンセル完了。その後消費者センターで「店から連絡するはずだがローン会社にも念のため連絡を」とアドバイスをもらったのでそちらに連絡。

それが数日前のことで、今日ついでもあったので正式にお断りに行ってきましたが、「じゃあぶっちゃけいくらだったら・・・」と若い店長にさらに値引き交渉されました。
モノは気に入ってるのは確かなのでとりあえず分不相応な買い物であるとしか言えなかったのですが、万が一ということもあるので「半額なら・・・」と言っておきました(笑)


私の着物の目的が「普段に着る」なのに、自分を見失ってました。おそるべし、着物。
当初の目的の確認のため、帰りにリサイクルの帯を2本5千円で買いました。これで十分。