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 酒とパンダとごはんとコドモ。無理せずラクに、まいにちのくらし。

厳しい現実

ワーキングプア 解決への道

ワーキングプア 解決への道

前作が主に日本国内の悲惨な現状を伝えるものだったのに対し、今回は韓国、アメリカ、イギリスなど海外の実態と支援の状況について取材されている。韓国の学歴信仰はよく報道もされてるけど、現実は日本以上に厳しい。
2007年7月に韓国で施行された「非正規保護法」では、2年以上継続して雇われた人は正社員とみなされ短期契約をくり返して低賃金で雇い続けることができなくしたはずなのに、ある企業は契約社員を全員解雇し、今後従業員はすべて「外注」でまかなうという手段をとった。
アメリカではそれなりの資格やキャリアを持ったITエリートと呼ばれる人たちでさえ、高度なスキルを持ちながら安い給料で働く中国人やインド人にとって代わられ、行き場を失っている。
企業が安価な労働力を求めることは必然とはいえ、企業の利益が社員や国民の利益や生活を奪ってしまうという現実。
貧困の連鎖を防ぐためにイギリスで行われている就労支援は、職業訓練の間も最低賃金が支払われるというもの。また、学校では経済的理由などで朝食をとれない子どものための朝食支援もあるらしい。
日本では職業訓練や資格取得のための勉強は、労働時間を割かなければ確保することができず、その結果生活が立ち行かなくなって断念するケースが多いという。そして欠食児童の問題については文科省も「早寝早起き朝ごはん」などと言っているけど、それは結局家庭に責任を持たせることばかりが強調されている。
確かに保護者としての責任は果たさなければならないし、そういった支援は行政レベルでは難しいのかもしれない。でも実際に不利益を被っているのは子ども自身なのだから・・・。
貧困は犯罪を生む。日本の未来を本気で案じているなら、国や行政は傷口が広がる前に対策を立てなければならないし、私たち一人ひとりも真剣に考えなくてはならない。