pandalzen

 酒とパンダとごはんとコドモ。無理せずラクに、まいにちのくらし。

今そこにある貧困

ワーキングプア―日本を蝕む病

ワーキングプア―日本を蝕む病

以前NHKで放送されたとき偶然観てましたが、かなり衝撃的だったことを思い出しました。都会のフリーターネットカフェ難民の話ではなく、主に地方の町のそれなりの年齢の人たちが直面している新しい貧困・・・。
こういった問題は身近なもので他人事ではないという思いからつい手にとってしまうのですが、最近こういう問題がメディアでも頻繁に報じられるようになってきたことについてちょっと不信感を持つようにもなってきました。これは社会への問題提起というよりも、「自分の生活も決して楽ではないけどこの人たちよりはマシだ」と思わされているような、「上を見て暮らすな、下を見て暮らせ」というメッセージが込められているのでは・・・と。
怠けていたわけでも極端に能力が低いわけでもないのに、生活保護水準以下の暮らししかできず、収入を増やすために資格を取りたくてもギリギリの生活をしている人にはそのために割ける時間もお金もない。そして、実際にこの問題の渦中にいる人はこの問題に立ち向かう意欲も余力も残されていないという現実。正直なところ「労働問題に関心がある私」は、ボランティア好きの主婦となんら変わらないのかもしれない。そんなことに関心を持っているゆとりがあるということは、自分の暮らしが安定していると思っているということ。この問題に対して危機感を持っているつもりでいて実は少なからず彼らに対して優越感を持っているのではないかと思うと寒気がする。
最も身近な人間に対する支援もできない自分を棚に上げて、社会の問題を語ることで自分が常識ある真っ当な人間であると思いたいのかもしれない。そしてモラリズムを振りかざして自己責任を問うことで問題を解決している気になっている私も、現実から逃げている。