pandalzen

 酒とパンダとごはんとコドモ。無理せずラクに、まいにちのくらし。

娯楽小説としては秀逸。

禁断のパンダ

禁断のパンダ

別にパンダメインの話じゃなんですが・・・表紙がパンダモノとしてもイケてるのでカテゴライズ。
友人に借りた「このミス」大賞本。「☆☆☆の美食ミステリー」の文句通り、レストランでの一皿一皿の描写がすばらしく、今すぐフレンチを食べに行きたくなる程!ただ中盤までは事件らしい事件も起こらず、やっと事件が起こったと思ってもイマイチ進展せず、淡々と食べ物の話が続きます。
神戸が舞台ということもあり、親近感を持って読むことができます。しかしながらミステリーとしてはちょっと物足りない。主人公の若きシェフはまずまずですが、若手とベテランの刑事コンビのキャラクターがやや平凡だったり。
そう思いながら読み進めると、「そうきたか!」という急展開。でもまあ考えてみれば至極わかりやすい動機だよな・・・と考えが及ぶ範囲の意外性にとどまります。
タイトルにもあるパンダの話は、卓越した味覚を持った美食家の老人が、料理にまつわるものとして「パンダはある理由から神を怒らせ、肉食である本能を変えられ竹を食べるようになった」と語ったもの。なかなか興味深い話ではあるものの、本筋との融合がいまひとつうまくいってないような・・・。構成と盛り上げ方でだいぶ変わるんだろうなー、と上から目線で思ってみたりもします。